仏眼仏母像(仏眼仏母の像)

仏眼仏母像ぶつげんぶつもぞう

  • 種別:国宝
  • 時代:鎌倉時代

仏眼仏母は諸仏の母とされ、一切の真理を見通す仏の眼を神格化した密教の尊格です。

白身・白衣に獅子冠を戴き、白蓮華に坐す姿が描かれています。画面上部には明恵上人自筆のがあり、和歌「もろともにあはれとおぼせわ仏よきみよりほかにしる人もなし」が添えられます。幼くして父母を失った明恵上人は、釈尊を父、仏眼仏母を母として慕ったといわれます。

密教

仏教の一流派。顕教に対する呼称。日本では、真言宗系の東密と天台宗系の台密がある。

獅子冠

白蓮華

絵画の余白に画題を讃えた漢詩や歌など。

明恵

承安3年(1173)に生まれる。現在の和歌山県有田川町、湯浅氏の出身。華厳宗の中興の祖。神護寺の文覚について出家する。東大寺で華厳を学び、勧修寺の興然から密教の伝授を受けた。建永元年(1206)後鳥羽院より栂尾の地を賜り、高山寺を創建して華厳宗興隆の中心道場とした。寛喜4年(1232)に没する。

上人

学徳を備えた僧侶の敬称。

釈尊

古代インドの王族の出身。生老病死の四苦を脱するため出家し、悟りを開き「ブッダ」と呼ばれた。

24歳の時、明恵上人は仏道への決意を表すためこの絵の前で自らの右耳を切り落としました。