明恵上人樹上坐禅

明恵上人樹上坐禅みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう

  • 種別:国宝
  • 時代:鎌倉時代

高山寺山中、楞伽山で修行をする明恵上人の姿を描いたものです。弟子の恵日房成忍の作とされ、画面上部には明恵上人自筆とみられるが記されています。

楞伽山

明恵

承安3年(1173)に生まれる。現在の和歌山県有田川町、湯浅氏の出身。華厳宗の中興の祖。神護寺の文覚について出家する。東大寺で華厳を学び、勧修寺の興然から密教の伝授を受けた。建永元年(1206)後鳥羽院より栂尾の地を賜り、高山寺を創建して華厳宗興隆の中心道場とした。寛喜4年(1232)に没する。

上人

学徳を備えた僧侶の敬称。

恵日房成忍

明恵上人の弟子の画僧。高山寺に関係する多くの絵を描いたと伝わる。生没年不詳。

絵画の余白に画題を讃えた漢詩や歌など。

明恵上人はしばしば、楞伽山に生える二股にわかれた松の木の上で坐禅を行ったといいます。その松は明恵上人により「縄床樹」と名付けられ、現在、縄床樹のあった場所には小さな石塔が佇んでいます。

坐禅

坐って行う禅の行法。

石塔

一般に祖師像は、祖師の姿を画面中央に大きく描きます。ところがこの絵では縄床樹の上に坐禅する明恵上人の姿が、松・岩・藤・小鳥栗鼠などに囲まれて小さく描かれています。自然や動物を慈しんだ明恵上人の人となりをよく伝え、祖師像の傑作ともいわれます。また、このような構図は特定の羅漢図のなかにも見られるため、北宋画の影響が指摘されています。

小鳥

栗鼠

羅漢図

釈迦の弟子として修業した高僧を描いた図。

北宋画

中国絵画の系統の一つ。